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足音が聞えてきた ― 白石一郎 ― ネタバレなしの読後感想


五つの短編小説のうち、三つが実際にあった出来事や実際にいた人物を題材としいるそうです。
どの小説もテンポがよく、「この先どうなるんだ?」と先に進みたくなる筆致で、中だるみすることがない。はじめて読んだ小説家だが、こんなに面白いとは知らなかった。
もっと早く読んでいればよかった。

足音が聞こえてきた 白石一郎

カバー装画 村上豊


<ざっくり紹介>
「足音が聞えてきた」 夫を斬り殺された妻女と、それを支える家督を継いだ義弟は・・・
「小麦さま」 朝鮮の役で囚われた高貴な女性と、武功をあげようと朝鮮に渡った男の物語
「お駒の紅」 世継ぎを廃嫡の陰で起きた理不尽なできごと
「くすり繁昌記」 江戸時代に薬ブームがあったとしたら・・・
「筑前狂想曲」 黒田藩が行った財政再建策の顛末





「で、こときれておりましたか」 ―
夫の死の知らせを受けた時、義弟は確かにそう言った。前夫を暗殺されながらもその弟の妻となり、幸せを取り戻した女が出遭う疑惑。
ミステリータッチで描く表題作はじめ、朝鮮に出兵した兵士と現地の女との数奇な運命をたどる「小麦さま」、天保時代、筑前黒田藩の財政の混乱を皮肉に描く「筑前狂想曲」など、多彩な筆を駆使した時代短編集。(新潮文庫 裏表紙から)

<収録>
足音が聞えてきた
小麦さま
お駒の紅
くすり繁昌記
筑前狂想曲





<作家紹介>
昭和6(1931)年、釜山市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
昭和62(1987)年「海狼伝」で第97回直木賞受賞。
平成4(1992)年「戦鬼たちの海 ― 織田水軍の将・九鬼幸隆」で第5回柴田錬三郎賞受賞。
平成11(1999)年「怒涛のごとく」で第33回吉川英治文學賞受賞。
平成16(2004)年没










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あばれ狼 ― 池波正太郎 ― ネタバレなしの読後感想


久しぶりに読んだ池波正太郎が書いた7編で組まれたこの本は、読み応え十分でした。最初の3編は、渡世人や浪人が絡むオムニバスになっており、それぞれが抱えた事情や思いが、命がけの行動をとらせる構成になっています。
あとの4編は、真田幸村で有名な真田家にかかわった人が主人公となったものです。
どの作品にも言えることなのですが、池波正太郎が書いた文章は、容易に書かれた人物を思い浮かべることができるという素晴らしさがあります。容貌や姿かたちが克明に描かれているからではありません。心情が克明に描かれていることによって、容貌や姿かたちを思い浮かべることができるのです。

あばれ狼

カバー装画 村上豊


<収録>
・さいころ蟲
・あばれ狼
・盗賊の宿
・白い密使
・角兵衛狂乱図
・幻影の城
・男の城




野州・真岡の小栗一家と竹原一家の大喧嘩にやとわれて人を殺めてしまった渡世人たち ― その不幸な生い立ちゆえに敵・味方をこえて結ばれる男の友情を描く連作「さいころ蟲」「あばれ狼」「盗賊の宿」。多淫な母親の若き日の嘘によって翻弄され続けた樋口角兵衛の生涯をたどる「角兵衛狂乱図」など、畢生の大作『真田太平記』の脇役たちを描いた4編の、全7編を収録。(新潮文庫 裏表紙から)



<作家紹介>
1923(大正12)年、東京に生まれる。1955年東京都職員を退職し、作家生活に入る。新国劇の舞台で多くの戯曲を発表し、60年第43回直木賞を「錯乱」によって受賞。77年第11回吉川英治文学賞を「鬼平犯科帳」その他により受賞する。作品に「剣客商売」「その男」「真田太平記」“必殺仕掛人”シリーズ等多数。



江戸の暗黒街 ― 池波正太郎 ― ネタバレなしの読後感想


本のタイトルどおりに、人目をはばかる世界で殺し屋として生きものと、自らの欲から殺し屋に殺しを依頼するものの行きつく末を描いた短編集です。
仕掛人、藤枝梅安へ続く、殺し屋と殺しの依頼者の心理描写が絶妙です。“悪の栄えたためし無し” のような結末も読後感をよくしています。

江戸の暗黒街
カバー装画 玉井ヒロテル

<収録>
おみよは見た
だれも知らない
白痴
男の毒
女毒

縄張り


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ひくく声をかけて、いきなり女に飛びかかった小平次は恐ろしい力で首をしめあげ、すばやく短刀で心の臓を一突きに刺し通した。その時、恐怖に引きつった青白い顔でじっとみつめる小女と顔を合わせてしまった。
〈見られた・・・・。生かしておけない〉
 男は江戸の暗黒街でならす名うての殺し屋で、今度の仕事は茶問屋の旦那の妾殺しだった。
 色と欲につかれた江戸の闇に生きる男女お哀しい運命のあやを描いた傑作集。(角川文庫 カバーそでから)




<作家紹介>
1923(大正12)年、東京に生まれる。1955年東京都職員を退職し、作家生活に入る。新国劇の舞台で多くの戯曲を発表し、60年第43回直木賞を「錯乱」によって受賞。77年第11回吉川英治文学賞を「鬼平犯科帳」その他により受賞する。作品に「剣客商売」「その男」「真田太平記」“必殺仕掛人”シリーズ等多数。






乱雲 ― 松本清張 ― ネタバレなしの読後感想


武田信玄が北上を進め、北部信州を支配下におさめようとし、上杉謙信との川中島での決戦を迎えようとするときに、報われない農作業に嫌気がさして合戦を機会に出世をしようとする百姓を生きざまを描いた「乱雲」と、武田信玄が生きてきた道を描いた「信玄軍記」が収められています。
「乱雲」については、楽しく読ませてもらいました。時代が生んだ不幸と、時代が人々の心をむしばむ変遷を感じ取りました。現在にも通じるようなストーリーです。
「信玄軍記」は、軍記ものとしては紙数が少ないため話をはしょっている感があり、不足感を感じます。川中島の合戦を描いた部分でも、臨場感が不足しているように思えました。

乱雲

カバー装画 村上 豊

<収録>
乱雲
信玄軍記

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「信玄軍記」と「乱雲」は同じ素材にもとづきながら別の展開をしめしているが、しかしこの二作をあわせ読めば、信玄をめぐる戦国期の時代相を知ることができるし、同時に松本清張の人間観、歴史観をうかがえる。「乱雲」は二年後に書かれた「野盗伝奇」の世界につながり、後に江戸期を背景とする伝奇小説に発展する原型といえるが、「信玄軍記」はその後の史記物に糸をひく作品であろう。二篇の初期作品はそうした彼の文学世界のひろがりを、ここに暗示しているようだ。(中公文庫 裏表紙から)




<作家紹介>
明治42(1909)年、福岡県小倉市(現・北九州市)に生れる。昭和28年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。31年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。38年「日本の黒い霧」などの業績によりジャーナリスト会議賞受賞。45年菊池寛賞受賞。「点と線」「日本の黒い霧」「現代官僚論」「昭和史発掘」「古代史疑」など多方面にわたる多くの著作があり、「松本清張全集」(Ⅰ期38巻、Ⅱ期18巻、文藝春秋)が刊行されている。(文春文庫 カバーそでから)







鬼火の町 ― 松本清張 ― ネタバレなしの読後感想


現代を舞台とした推理小説と異なり、江戸時代など過去を舞台としたものは、当時の文明により捜査の制限が多くなってしまうため、ちょっと性急な進め方だなと思ってしまうことも多いが、松本清張は、「ん? なぜ?」を思うことがかなり少ない作家だと思います。
権力に抑え込まれてしまい、捜査権を奪われてしまっても、なおも人情と仕事人気質から捜査を進めていくという、警察小説の定番のようになっているストーリーですが、松本清張はこれを昭和40年に書いています。あらためて凄い作家だなと思います。
歴史に詳しい小説家らしく、時代背景も丁寧に書かれており分かりやすいです。
残念なのは、事件解決の部分を思い出語りで済ませている点です。紙数制限でもあったのかな?


鬼火の町

カバー装画 粟谷 充

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 朝霧にかすむ大川に無人の釣舟が浮かんでいた。やがて二人の男の水死体が流れ着く。現場の川底にあった豪華な女物煙管は謎を解く鍵か? 反骨の岡っ引き藤兵衛にのしかかる圧力の正体は? 藤兵衛を助ける颯爽の旗本釜木進一郎、足をひっぱる悪同心、不気味な寺僧や大奥の女たちを配して江戸を舞台にくりひろげる長篇時代推理!(文春文庫 裏表紙から)




<作家紹介>
明治42(1909)年、福岡県小倉市(現・北九州市)に生れる。昭和28年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。31年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。38年「日本の黒い霧」などの業績によりジャーナリスト会議賞受賞。45年菊池寛賞受賞。「点と線」「日本の黒い霧」「現代官僚論」「昭和史発掘」「古代史疑」など多方面にわたる多くの著作があり、「松本清張全集」(Ⅰ期38巻、Ⅱ期18巻、文藝春秋)が刊行されている。(文春文庫から)








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