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五味康祐(ごみ こうすけ)

“ときどきテレビに出てくる髭の作家”というイメージを持っている。人気作家だったころ、私は未だ子供であり剣豪を描いた小説に興味が全くなかったのだから、このイメージを持ったのは当然かもしれない。
いちど、じっくりと読んでみたい作家のひとりです。


・十二人の剣豪

 腰抜けと蔑まれつつも主君の遺児の姫に主家再興の望みを托し、纏足まで施して何事か企む老臣の悲劇。紀州家秘蔵の短刀を己が切腹用に借りたいと望み、膝をまくって太腿で一筋二筋切味を試し、従容と死に就いた浪人の心衷。美しく散るも武士、生恥を曝すも武士。武士の一分と死生の決断に現れた慟哭と非情。(文春文庫 裏表紙から)

十二人の剣豪

カバー装画 田代素魁


・剣法奥儀

 武芸の各流派には、それぞれ奥儀の太刀がある。いわく先意流の極意「浦波」、知心流の「雪柳」、一刀流には「青眼崩し」などなど。本書は美貌の女剣士、僧門の剣客、蝙蝠の如き忍者などが激突、華やかな太刀合せ知恵比べが展開された各流派の秘術創始にかかわる戦慄のドラマを流麗に描破した剣豪小説集である。(文春文庫 裏表紙から)

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カバー装画 徳永勝哉


・柳生宗矩と十兵衛

 徳川将軍家の師範役をつとめた柳生宗矩、また無敵をうたわれたその嫡子十兵衛。彼らはいかほどに強かったのか、衆に秀れていたのか―他流の剣客達人たちとのさまざまな出会い、剣技のさえをきびしくあざやかに描出する。本書は剣豪小説の旗手であり名手であった著者の生涯掉尾をかざる名作である。(文春文庫 裏表紙から)

柳生宗矩と十兵衛
カバー装画 斉藤 隆


・真田残党奔る

 豊臣家滅亡後、徳川の世は安泰かと見えたが、猿飛佐助、三好清海、くの一霧隠才蔵ら真田十勇士の残党が突如現れ「太陽の使者」と名乗り蠢動し始めた。一方、幕閣の要人本多正純は宇都宮城に釣天井を仕かけ、将軍暗殺を企む。柳生宗矩、紀伊頼宣、伊達政宗らがそれぞれの思惑を秘めて織りなす謀略と非情の剣戟。(文春文庫 裏表紙から)

真田残党奔る
カバー写真 秋山廣行


・掏摸名人地蔵の助

 地蔵の助と呼ばれる、江戸一の掏摸がいた。仲間さえ驚かす入神の早業を身につけながら、常に穏やかな笑みを絶やさないので付いた異名だった。その助が、命の恩人と思う掏摸名人・捨の孫娘の危難を救うのに、四十両が入要になった。十両盗めば打ち首になるのだから、捕えられれば死罪は免れない。思いあまった助は、何と町奉行与力・東條八大夫に会って、命を賭けて願い出たのだが・・・・。異色の時代小説集。(文春文庫 裏表紙から)

掏摸名人地蔵の助
カバー装画 中沢 潮


・如月剣士(上)

 紀伊藩主・吉宗が八代将軍職を継いだ。だが、六代将軍・家宣が尾張家のために遺したという御墨附を手に入れ吉宗の失政を画策する尾張藩の強硬派津田兵部の宿怨は深い。大岡越前守は怪盗五ツ目小僧を密偵に尾張藩の野望を阻止せんと秘策を練る。また、播州三日月城主・森安芸守は吉宗方の密命を帯びて江戸へ。一方、江戸下谷に道場を構える元紀州藩士・立花隼人正は尾張藩邸に乗込むが・・・・名作時代小説。(徳間文庫 裏表紙から)

如月剣士(上)
カバー装画 中沢 潮


・剣には花を(上)

 なぜか、微醺をおびて巷を徘徊する染は、故あって切腹した旗本・牧下頼母のお内儀。その侠気さと美しさで評判の女だ。北辰一刀流・千葉周作の門下で剣一筋、修行の日々をすごす山岡鉄太郎は、染をめぐる奇妙な事件に巻き込まれ、刀を振るう羽目になった。謎の砂文字の女、そして浮世絵師がいり乱れ・・・・。豪放にして赤心の人、剣聖・山岡鉄舟の若き日々を描く長篇時代小説。(徳間文庫 裏表紙から)

剣には花を(上)
カバー装画 中沢 潮


・剣には花を(下)

 妖しき美女を描いた絢爛たる浮世絵と引き換えに、外国から新兵器を買い求めんとする幕府側と、神道無念流・斎藤弥九郎門の塾頭・桂小五郎ら勤皇派との闇の戦いはますます熾烈をきわめていった。謎の名剣士・秦勝三郎、さらには槍術日本一と称される高橋泥舟も加わって、山岡鉄舟と染の周辺は、にわかにあわただしくなって・・・・。幕末の江戸を舞台に繰り広げられる傑作時代長篇。(徳間文庫 裏表紙から)

剣には花を(下)
カバー装画 中沢 潮


・風流使者(上)

 頃は天保。甲府に入った男たちがいる。戸田流宗家の老武者・藤木道満。武者修行中の島田虎之助。白面の貴公子・本多左近。なぜか道満は仙台黄門と呼ばれ、助さん、格さんという二人の壮漢を従えている。黄門一行が絹商人和泉屋に逗留中、当の和泉屋が斬り殺された。城下には白覆面の剣士の仕業という噂が流れ、道満一行の姿が消えた。この騒乱に島田虎之助も巻き込まれて・・・・。長篇剣豪小説。(徳間文庫 裏表紙から)

風流使者(上)
カバー装画 中沢 潮


・剣法秘伝

 三代将軍家光の頃、江戸では新陰流、無明流が覇を競っていた。将軍家指南役、新陰流柳生但馬守宗矩は、無明流の声望高きを恐れ、無明流四天王の謀殺をはかった。三人までは仕留めたが、神月悪源太のみは残った。宗矩は更に刺客を放つが、ことごとく撃退される。ついに旅に出ていた嫡男十兵衛を呼び寄せ、無明流道場へ送り込んだ・・・・(「殺人鬼」)。剣に命を賭けた男たちの生きざまを描く秀作十篇収録。(徳間文庫 裏表紙から)

剣法秘伝
カバー装画 中沢 潮


・上意討ち

 大和高取藩百五十石取りの藩士・有沢勘兵衛は主君の非も諌めるほどの剛直の武士であったが、ために主君出羽守家政の機嫌を損じてしまい、蟄居謹慎中の身であった。やがてご赦免になり、出仕の沙汰が下ったまではよかったが、なぜか竹馬の友の和田甚右衛門も同席するという。甚右衛門は柳生宗矩も嘆称したほどの使い手。何か企みがあるのか・・・・(「上意討ち」)。表題作ほか九篇を収める傑作時代小説。(徳間文庫 裏表紙から)

上意討ち
カバー装画 中沢 潮


・黒猫侍

 八代将軍吉宗の御代。黒猫に赤穂浪士の名を付けて飼う、謎の妖術師・黒猫道人。大岡越前守は、道人が吉良方の武士を使い討幕を企てている事を知り、公卿ながら京八流の名手・中興上総介に道人を倒すよう依頼。見事、使命を果たした上総介は、やがて“黒猫侍”の異名を取り、その後も江戸に起る奇怪な事件を次々と解決してゆくが・・・・。
謎が謎を呼ぶ、五味流痛快時代巨篇。(徳間文庫 裏表紙から)

黒猫侍
カバー装画 中沢 潮


・柳生稚児帖

 尾張家兵法師範役である柳生新陰流当主兵庫厳蕃の嫡男・兵介は、町中で同僚藩士に喧嘩を売られ、一命を落とした。腰間の虎徹が、いつの間にか折れやすい贋刀にすり替えられていたためであった。
この事件の背後に、幕府の開国主義に反対する藩主・慶怨を失脚させんとする陰謀をかぎとった厳蕃は、ひそかに女忍・蘭を放つが・・・・・。幕末の暗闘を贋刀事件を軸に痛快無比に描く、剣豪小説巨篇。(徳間文庫 裏表紙から)

柳生稚児帖
カバー装画 中沢 潮




<作家紹介>
大正10(1921)年大阪市に生まれる。早稲田第二高等学院、明治大学をいずれも中退。昭和28年「喪神」にて第28回芥川賞受賞。一世を風靡した大河長篇「柳生武芸帳」を始め、「柳生連也斎」「薄桃記」等多数の時代小説と共に、「西方の音」「天の聲」を代表作とする音楽評論も世評が高い。55年4月没。「五味康祐代表作集」全十巻がある。


































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服部半蔵(一) <花の章> ―戸部新十郎― ネタバレなしの読後感想


この本が、文庫本への“書下ろし”として登場した頃は、歴史小説、時代小説が華やかでした。主人公の服部半蔵は、有名な忍者ではあるが、歴史的な資料も少ないであろうから、歴史小説と呼ぶのには疑問がある。
家康をはじめとして、信長、秀吉らと接触するするシーンは史実にとらわれず、とても自由に書かれているので、生きた文章になっている。
この巻は長い物語の書き始めのせいだろうか、登場人物の心の動きをとらえにくい。現在、同じように文庫本への書下ろしを多数行い続けている佐伯泰英さんに比べると、愛情や人情などを読み取りにくい。忍者という存在であるからなのかもしれない。

服部半蔵(一)

カバー装画 村上 豊




 匂うような美少年服部半蔵が、陰謀渦巻く伊賀に戻ってきた。
単身、上忍藤林長門、百地丹波に挑み、幻術遣い勾当段蔵と対決。
“煙りの末”の名を復興し、より広い戦国興亡の地を求めて歩き出す。長編歴史小説。
(光文社時代小説文庫 裏表紙から)






























行、 様、 御中






会社宛ての申込書を、数多く受け取る機会を得ました。会社から送った返信用の封書を受け取る業務です。
封筒の形態は、よくあるように会社の所在地が印刷されて、宛先の会社の名の下に「行」と印刷されているものです。この「行」は、受取り手が(この場合は会社)が送り手(この場合は申込書を発送した人)に対して、へりくだりを表す意味も含んでいます。
印刷の時に、“〇〇株式会社 御中”と印刷すればいいように感じる方もらっしゃるでしょうが、あえて“〇〇株式会社 行”としているところに、奥ゆかしさがあり、文化があります。
郵便は、直接に相手に会うことが無いので、会う時と同様に丁寧に、失礼のないようにしたいものです。
「行」がついている返信への対応は、「行」を二重線で消して、個人あての場合は「様」、会社などの組織団体あての場合は「御中」と、消した「行」の横または下に手書きで書きます。これで返信用封筒を送った者とそれを返信した者の間で、形式的ですが相手に対して失礼のないやり取りが成立します。


今回受け取った返信用封筒には、「御中」へと変えられたものが約7割でした。老若男女の違いによる傾向は見られませんでした。なかには「様」へ変えられていた方もいらっしゃったので、気をつけたいものです。


同窓会の通知などはemailを使うようになっているようですが、結婚式への招待や二次会への参加確認には、まだ上記の郵便が使われています。間違えのないように、「様」へ変えてください。また「ご出席」や「ご欠席」を〇で囲む際も、「ご」を二重線で消すことが適当です。


なんらかの書類などを受け取る必要があって、返信用の封筒を同封して送ることもありますが、この場合も同様に、返信用の封筒に書いた自分の名前の下に「行」を書きましょう。
名前になにも書かなかったり、「宛て」を書いたりする方もいらっしゃいますが、形式どおりに「行」を書く方が良いです。


他愛もないことかもしれません。でも、小さな文化を守りたいものです。






























阿刀田高


星新一と並び、数多くのショートショートを書いた小説家です。星新一が空想を描くのを得意としたのに対して、阿刀田高は「悪」を小ざっぱりと描くのが得意だったように思える。
阿刀田高も、このころの作家にみられるような、ことばを楽しみの道具としていたのではないだろうか。ユーモアを、皮肉を、ことばを自在に操って描いている。




<作家紹介>
昭和10(1935)年東京に生まれる。早稲田大学仏文科卒。国立国会図書館勤務を経て文筆活動入り、54年、短編集「ナポレオン狂」で第81回直木賞を受賞著書に「冷蔵庫より愛をこめて」「壜詰の恋」「一ダースなら怖くなる」「夢判断」「ギリシア神話を知っていますか」「コーヒーブレイク11夜」「街の観覧車」など。(文春文庫から)





・江戸禁断らいぶらりい

 江戸時代は庶民文化の花ざかり。世界一短いポルノグラフィである艶句、大胆な発想と綿密な文章をこらした春本、人生の深奥を垣間見る小ばなし、いずれも江戸ならではの匂いにあふれる。それらの快作怪作をすくい上げ、人生観察の名手が縦横に品評、おもしろさを増幅させる - 江戸ポルノ書籍。(講談社文庫 裏表紙から)

江戸禁断らいぶらりい

カバー装画 岡田嘉夫

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・食べられた男

 親友のS君が、とびきりの美女を射止めた。余りのねたましさに私はこれはよくないことの前兆ではないか、とすら考えた。そして一ヵ月、S君の言動に微妙な変化が起こりはじめた -。ブラックユーモアの名手が構築した恐怖と幻想のショートショート42編。(講談社文庫 裏表紙から)

食べられた男

カバー装画 畑農照雄

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・最後のメッセージ

 まじめ人間にとって、恋の相手が悪かった。らつ腕のホステスだったのだ。たちまち貯金をはたき、会社の金に手をつけ、挙句にクビ。むろん女は嬉々として去って行った。男はひそかに報復を計画する。それも五年がかりで・・・・。巧みなプロット、しゃれた語り口、意外な結末で読者を異次元に誘う42編のショートショート集。(講談社文庫 裏表紙から)

最後のメッセージ

カバー装画 畑農照雄

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・Aサイズ殺人事件

 生臭和尚の趣味は囲碁と殺人事件の推理。手に余る事件が起きるたびに刑事は妙法寺に出かけてゆく。碁を打ちながらかわす奇妙な会話が犯人逮捕のひらめきになる。酒好きで女好きで、お経は怪しいけれど推理はめっぽうするどい、刑事にも判からぬ和尚の頭。ユーモアを含み鮮やかに展開する知的遊戯 “禅問答推理帖” (文春文庫 裏表紙から)

Aサイズ殺人事件

カバー装画 東谷武美



・頭の散歩道

 キャバレーの反対なーんだ?「レバ焼き」。では、地球上の地点で地球の中心からいちばん離れている場所はどこか? 答えは・・・・この本を買って読んで下さい。言葉遊び、はめ絵、謎とき、パズル満載、マイコンに凝るよりこれ一冊でアタマが10倍良くなる! 彼女と読めば100倍良い子が生まれる!? 阿刀田高的遊戯の世界。(文春文庫 裏表紙から)

頭の散歩道

カバー装画 真鍋 博



・ことばの博物館

 ふだん、何の気なしに使っている言葉にも、思いもかけない語源がある。もっとも、中には眉唾もののこじつけもあるから、要注意ではあるのだが。ショートショートの名手が古今東西のうんちくを傾けながら、語源の真説虚説のあれこれを、ユーモアたっぷりに語る好読み物。この一冊で、あなたはもう、言葉博士!(文春文庫 裏表紙から)

ことばの博物館

カバー装画 真鍋 博



・お笑いを一席

 当代一流の才人たちが、腕によりをかけた新作落語でご機縁をうかがいます。人情話あり、艶笑話しあり、廓話しあり。昔なじみの語り口のなかに、現代館感覚あふれる笑いがふんだんにもり込められています。出し物は、阿刀田高の『狐のラーゲ』、井上ひさし『御松茸』、色川武大『いとえん』、野坂昭如『野ざらし』、結城昌治『裸大黒』、和田誠『鬼ヶ島』など全十九席。文庫オリジナル作品です。(新潮文庫 裏表紙から)

お笑いを一席

カバー装画 山藤章二



・夢判断

 人間は夢の中で将来起きることを予見できるのだろうか? 赤い色の夢を見ると、その夢が必ず実現されるという青年の話「夢判断」。毎週届く奇怪な殺人依頼の手紙と毒入りのコーラ事件との不気味な結びつきを暗示する「あの人をころして」。プロの結婚詐欺師にころりと欺いたかに見えた自称ハイミスの意外な正体とその復讐「蜜の匂い」。現代人の深層心理を揺さぶる恐怖と笑いの14編。(新潮文庫 裏表紙から)

夢判断

カバー装画 久里洋二

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・ギリシア神話を知っていますか

 聖書と並ぶ古典中の古典、ギリシア神話は、世界の思想、芸術、文芸に多大の影響を及ぼしている。本書では、多才豊富な物語の膨大な枝葉を巧みに整理し、著名なエピソードを取りあげてわかりやすく解説する。エロス、オイディプス、パンドラ、アンドロメダ・・・・神話中のヒーローとヒロインの運命を、作家的想像力で興味深く語ったこの一冊で、あなたはもう“ギリシア神話通”。(新潮文庫 裏表紙から)

ギリシア神話を知っていますか

カバー装画 和田 誠

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・早過ぎた予言者

 占星術発祥の地バビロニアに、一人に預言者がいた。彼、カプタマスは、恋の成否、放蕩息子の行く末、王の結婚など、万象についてイシュタルの女神に伺いを立てた。予言者は神の下した一握りの暗示をもとに、微に入り細をうがった未来の情景を描き出す。バビロニアの民は、こぞってお告げに耳を傾けた・・・・。古今東西のもの辺りに材を採り、当代随一の語り部がつくり上げた、12の華麗な短編。(新潮文庫 裏表紙から)

早過ぎた予言者

カバー装画 安野光雅






























パパのおくりもの ―なだ いなだ― ネタバレなしの読後感想


精神科医でもある作者が、フランス人との間に生まれた幼い三人の娘さんたちに、公費でフランス、イギリス、チェコ、デンマークなどのヨーロッパの国々を視察している間のことを中心に、言葉のプレゼントをするとい設定で書かれたエッセイ集です。後に書かれる「娘の学校」につながる構成で、ユーモアに富んだ文章は、心和ませてくれる。
当時の世相や暮らしを、垣間見ることもできる。

パパのおくりもの
  
文春文庫  カバー装画 山本美智代


<もくじ>
パパのおくりもの
教育につて
お前たちのママ
悪徳について
かずかずの偶然について
十年ぶりのパリ
ラ・マンブロールでの夢想
大学都市ふたたび
ケネディの暗殺
ためいき
平和と英雄との関係
裏町にて
日本人のこと
やぶけるという言葉
スペインとポルトガルへの旅
イギリスにて
ロンドンの六月
プラーハでの一ヵ月
コペンハーゲンから
フィンランドの自然と人間
パパのゆうれい


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作家でもある神経科の医者さんがフランス人の奥さんとの間に生まれた三人の娘さんたち、ユキ・ミト・チカに贈る愛のプレゼント。
幼な子たちのかわいい行状と、パパの昔の留学の思い出からヨーロッパ紀行と、数々の挿話の中に卓抜な文明批評が織り込まれている愛と機知とユーモアに溢れた楽しいエッセイ集。(文春文庫 裏表紙から)




<作家紹介>
昭和4(1929)年、東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。
精神科医として勤務するとともに、文筆業をつづける。
医学書や留学先のフランスにまつわる小説やエッセイを多く執筆。
平成25(2013)年没































司馬遼太郎(しば りょうたろう)


きっと誰もが、その名を知っている小説家ではないだろうか。一部の人から「歴史を歪曲している」と批判をうけているが、人気があるゆえの代償か。
私の父母も司馬遼太郎の小説が大好きで、本棚にズラッと並んだ背表紙は図書館の様であった。
私自身は何から読み始めたのか定かな記憶はないが、「竜馬がゆく」や「最後の将軍」などの幕末を描いた小説だったのではないかと思う。母や姉などは、「新選組血風録」を読んだ後に東京都の日野へ足を運んでいた。歴女のはしりか・・・
いずれにしても、読書の楽しさを教えてくれた作家であることは間違いない。




<作家紹介>
大正十二年(一九二三)、大阪に生まれ、大阪外語大学蒙古語学科を卒業。戦後間もなく、産経新聞社に入社し、文化部記者となる。昭和三十四年、『梟の城』により第四十二回直木賞を受賞。
三十六年出版局次長を最後に産経新聞社を退社。同四十二年『殉死』により第九回毎日芸術賞を受賞。主なる著書、『上方武士道』『豊臣家の人々』『国盗り物語』『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『空海の風景』ほか。(中公文庫から)





・燃えよ剣 上巻

 幕末の動乱期に新選組副長として剣に行き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑なな生涯を描く。武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上がりの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。「竜馬がゆく」と並び、“幕末もの”の頂点をなす長編。(新潮文庫 裏表紙から)

燃えよ剣 上巻

カバー装画 池田浩彰


・燃えよ剣 下巻

元治元年六月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。新選組のもっとも得意な日々であった。やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩長の大砲に自刃でいどんだ新選組は無残に破れ、朝敵となって江戸へ逃げのびる。しかし、剣に憑かれた歳三は、剣に導かれるように会津若松へ、」函館五稜郭へと戊辰の戦場を血で染めてゆく。(新潮文庫 裏表紙から)

燃えよ剣 下巻

カバー装画 池田浩彰


・新史 太閤記(上)

 日本史上、もっとも巧みに人の心を捉えた“人蕩し”の天才、豊臣秀吉。生まれながらの猿面を人間的魅力に転じ、見事な演出力で次々に名将たちを統合し、ついに日本六十余州を制覇した英雄の生涯を描く歴史長編。古来、幾多の人々に読みつがれ、日本人の夢とロマンを育んできた物語を、冷徹な史観と新鮮な感覚によって今日の社会に魅せられたもっとも現代的な太閤記である。(新潮文庫 裏表紙から)

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カバー装画 下田義寛


・新史 太閤記(下)

 備中高松城を水攻めのさなか本能寺の変を伝え聞いた秀吉は、“中国大返し”と語り伝えられる強行軍で京都にとって返し、明智光秀を討つ。柴田勝家、徳川家康ら、信長のあとを狙う重臣たちを、あるいは懐柔し、あるいは討ち滅ぼすその稀代の智略は、やがて日本全土の統一につながってゆく。常に乱世の英雄を新しい視角から現代に再現させる司馬遼太郎の「国盗り物語」に続く戦国第二作。(新潮文庫 裏表紙から)

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カバー装画 下田義寛


・馬上少年過ぐ

 戦国の争乱期に遅れて僻遠の地に生まれた故に、奥羽の梟雄としての位置にとどまらざるをえなかった伊達政宗の生涯を描いた『馬上少年過ぐ』。英国水平殺害事件にまきこまれた海援隊士の処置をめぐって、あわただしい動きを示す坂本龍馬、幕閣、英国公使らを通して、幕末の時代象の一断面を浮彫にした『慶応長崎事件』。ほかに『英雄児』『喧嘩草雲』『重庵の転々』など7編を収録する・。(新潮文庫 裏表紙から)

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カバー装画 下田義寛


・歴史と視点 ―私の雑記帖―

 歴史小説に新しい時代を画した司馬遼太郎の発想の源泉は何か? 帝国陸軍が史上初の惨敗を喫したノモンハンの戦いを、太平洋戦争を戦車隊員として戦った自身の体験と重ね合わせながらふりかえり、敗戦に至る壮大な愚行に対する一つの視点を呈示するなど、時代の諸相を映し出す歴史の搏動をとらえつつ、積年のテーマ“権力とは”、“日本時とは”に迫る独自な発想と自在な思索の軌跡。(新潮文庫 裏表紙から)

歴史と視点 ―私の雑記帖―

カバー装画 富岡惣一郎


・草原の記

 史上空前の大帝国をつくりだしたモンゴル人は、いまも高燥な大草原に変わらぬ営みを続けている。少年の日、蒙古への不思議な情熱にとらわれた著者が、遥かな星霜を経て出会った一人のモンゴル女性。激動の20世紀の火焔を浴び、ロシア・満州・中国と国籍を変えることを余儀なくされ、いま凛々しくモンゴルの草原に立つその女性をとおし、遊牧の民の歴史を語り尽くす感動の叙事詩。(新潮文庫 裏表紙から)

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カバー装画 中島千波


・アメリカ素描

 普遍性があって便利で快適なものを生み出すのが文明であるとすれば、いまの地球上にはアメリカ以外にそういうモノやコト、もしくは思想を生みつづける地域はないのではないか。―初めてこの地を旅した著者が、普遍的で合理的な「文明」と、むしろ不合理な、特定の集団(たとえば民族)でのみ通用する「文化」を見分ける独自の透徹した視点から、巨大な人工国家の全体像に迫る。(新潮文庫 裏表紙から)

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カバー装画 司馬遼太郎


・古往今来

 古往今来とは「昔から今まで」の意である。『私は「古往」が単独に存在するのは、にがてである。人間を考える場合、そのひとを成立させている歴史的条件を巨細に見、その時代の気分を感じねば、そのひとの心も行動も動いてこないし、さらにはそのひとの人生の価値についての値ぶみも、しようがない。―「今来」のなかにいるよき人を「古往」のなかに置いてひそかに歩かせてみる愉悦はたとえようもない』(中公文庫 あとがきより)

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カバー装画 須田剋太


・王城の護衛者

 王城の護衛者としての使命を、唯一の支えにして、激動する幕末の難局に掉さした会津の青年藩主、松平容保が政治の術数に翻弄される悲劇の生涯をつづる名編。
他に、「加茂の水」「鬼謀の人」「英雄児」「人斬り以蔵」を収録。(講談社文庫 裏表紙から)

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カバーデザイン 亀倉雄策


・豊臣家の人々

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カバー装画 風間 完


・手掘り日本史

 “私の書斎には友人たちがいっぱいいる”「夏草の賦」「竜馬がゆく」「峠」など個々のロングセラー作品を手がかりに、歴史を賑わせた英雄・英傑の人間像を甦らせ、更には膨大な資料に貫かれた鋭い史眼と著者独自の発想の原点を解き明かす。司馬文学の核心に触れる語り下しエッセイ。(集英社文庫 裏表紙から)

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カバー装画 後藤市三


・言い触らし団右衛門

 時は戦国末期、諸国に牢人があふれ、おのれの才能武芸を用いる主君も少ない。PRこそ天下に名をとどめる道と、ひたすらに売名に専念し、望みどおり名に生き名に死んだ塙団右衛門の物語ほか、豪傑後藤又兵衛、岩見重太郎など、独創的視点で乱世の侍の生死の姿を浮彫にする、司馬文学の醍醐味を満喫させる短篇五篇(中公文庫 裏表紙から)

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カバー装画 風間 完


・新選組血風録

 秋霜の如くきびしい隊規のもとに、剣に生き剣に死んでいった新選組隊士たち。近藤勇、沖田総司など、かれら一人々々の哀歓を、冴え冴えとした筆で浮彫にする。司馬文学を代表する会心の秀作。(中公文庫 裏表紙から)

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・最後の将軍

 ペリー来航以来、開国か攘夷か、佐幕か倒幕かをめぐって、朝野は最悪の政治混乱に陥ってゆく。文久二年、将軍後見職として華々しく政界に登場したのちの十五代将軍徳川慶喜は、優れた行動力と明晰な頭脳をもって、敵味方から恐れと期待を一身に受けながら、抗しがたい時勢の流れにみずから幕府を葬り去らねばならなかった(文春文庫 裏表紙から)

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カバー装画 風間 完


・大坂侍

 明けても暮れても金、金の大坂では、武士道も額面通りは通らない。義のために突き進もうと、鳥居又八は江戸の彰義隊に参加するが・・・・。幕末大坂の、武士と町人の気風を語る表題作の他、上方の心意気を軽快に描く好短編。「和州長者」「難波村の仇討」「法駕籠のご寮人さん」「盗賊と間者」「泥棒名人」の五編を収録。(講談社文庫 裏表紙から)

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カバー装画 彰義隊絵巻(円通寺蔵)


・最後の伊賀者

 驚異的技能と凄じい職業意識を持つ怪人たち、伊賀忍者はいかにしてつくられどのように生きたか。城取り、後方攪乱、探索密偵等、戦国の武器として使いちらされた危険な傭兵、詐略と非情の上に成り立つ苛酷な働きが、歴史の動きに影響を与えた不思議な人間たちを、自在に描く短編等、魅力溢れる七編を収録。(講談社文庫 裏表紙から)

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カバー装画 摩利支天像(町田甲一著、岩波グラフィックス「仏像―イコノグラフィ」より)


・世に棲む日日(一)

 嘉永六年(1853)、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。この時期骨肉の抗争をへて、倒幕への主導力となった長州藩には、その思想的原点に立つ吉田松陰と後継者たる高杉晋作があった。変革期の青春の群像を描く歴史小説全四冊。(文春文庫 裏表紙から)

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カバー装画 北澤知己


・世に棲む日日(二)

 海外渡航を試みるという、大禁を犯した吉田松陰は郷里の萩郊外、松本村に蟄居させられる。そして安政ノ大獄で、死罪に処せられるまでの。わずか三年たらずの間、粗末な小屋の塾で、高杉晋作らを相手に、松陰が細々とまき続けた小さな種は、やがて狂気じみた、すさまじいまでの勤王攘夷運動に成長し、時勢を沸騰させてゆく。(文春文庫 裏表紙から)

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カバー装画 北澤知己


・世に棲む日日(三)

 狂躁の季節がきた。長州藩は既に過激派の高杉晋作をすら乗りこえ藩ぐるみで暴走をかさねてゆく。元治元年(1864)七月に、京へ武力乱入し壊滅、八月には英仏米蘭の四ヵ国艦隊と戦い惨敗・・・・そして反動が来る。幕府は長州征伐を決意し、その重圧で藩には佐幕政権が成立する。が、高杉は屈せず、密かに反撃の機会を窺っていた。(中公文庫 裏表紙から)

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カバー装画 北澤知己


・世に棲む日日(四)

 動けば雷電の如く、発すれば風雨の如し・・・・。わずか八十人で兵を挙げた高杉晋作のクーデターは、きわどく成功する。幕府は、慶応二年(1866)、この長州藩を圧し潰そうと、天下の兵を糾合し、藩の四境から進攻するが、時運はすでに移り変わっていた。戦いに勝って維新の曙光を認めながら、しかし高杉はもはや死の床にあった・・・・(中公文庫 裏表紙から)

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カバー装画 北澤知己


・関ヶ原 中巻

 秀吉の死後、天下は騒然となった。太閤の最信任を獲得した能吏三成は主君の遺命をひたすら堅守したが、加藤清正、福島正則ら戦場一途の武将たちは三成を憎んで追放せんとする。周到な謀略によって豊家乗っ取りにかかった家康は、次々と反三成派を籠絡しつつ、上杉景勝討伐の途上、野州小山の軍議において、秀頼の命を奉ずる諸将を、一挙に徳川家の私兵へと転換させてしまう。(新潮文庫 裏表紙から)

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カバー装画 巻 白


・関ヶ原 下巻

 天下取りの見果てぬ夢を追い求めて関ケ原盆地に群れ集まった10数万の戦国将兵たち・・・・。老獪、緻密な家康の策謀は、三成の率いる西軍の陣営をどのように崩壊させたか? 両雄の権謀の渦の中で、戦国将兵たちはいかにして明日の天下に命をつなぎ、また亡び去ったのか? 戦闘俯瞰図も言うべき雄大な描写の中に、決戦に臨む武将の人間像とその盛衰を描く、波瀾の結編。(新潮文庫 裏表紙から)

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カバー装画 巻 白


・城塞(中)

 真田幸村、後藤又兵衛ら、関ケ原の合戦でむなしく敗れた豪将たちを迎えて籠城作戦をとる大坂方。みずから四十万の兵をひきいて包囲する徳川家康。かくて大坂冬ノ陣の激戦の火蓋は切られた。真田丸にたてこもる幸村の神技を思わせる戦闘指揮にもかかわらず、天守閣に大筒を撃ち込まれた淀殿は、家康の調略にのって和議に応じ、さらには城の外濠堀ばかりか内濠までも埋められてしまう。(新潮文庫 裏表紙から)

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カバー装画 村上 豊


・城塞(下)

 外濠も内濠も埋められて裸城となった大阪城に対して、家康は最後の戦いをけしかける。夏ノ陣を前にして、大坂方には、もはやいかなる勝機も残されてはいなかった。数十万の東軍を相手に、真田幸村、毛利勝永らは、家康の本営にまで斬りこむ働きをするが、後続の部隊がなく、いずれも城を墳墓に討死してゆく。秀頼・淀殿は自尽し、巨城の炎上をフィナーレに戦国時代はその幕を閉じる。(新潮文庫 裏表紙から)

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カバー装画 村上 豊


・花神(上)

 周防の村医から一転して討幕軍の総司令官となり、維新の渦中で非業の死をとげたわが国近代兵制の創始者大村益次郎の波瀾の生涯を描く長編。動乱への胎動をはじめた時世をよそに、緒方洪庵の適塾で蘭学の修養を積んでいた村田蔵六(のちの大村益次郎)は、時代の求めるままに蘭学の才能を買われ、宇和島藩から幕府、そして郷里の長州藩へととりたてられ、歴史の激流にのめりこんでゆく。(新潮文庫 裏表紙から)

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カバー装画 星 襄一


・胡蝶の夢(一)

 黒船来航で沸き立つ幕末。それまでの漢方医学一辺倒から、にわかに蘭学が求められるようになった時代を背景に、江戸幕府という巨大組織の中で浮上していった奥御医師の蘭学者、松本良順。悪魔のような記憶力とひきかえに、生まれついてのはみ出し者として短い一生を閉じるほかなかった彼の弟子、島倉伊之助。変革の時代に、蘭学という鋭いメスで身分社会の掟を覆していった男たち。(新潮文庫 裏表紙から)

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カバー装画 加山又造


・韃靼疾風録(下)

 「野蛮の勃興こそ歴史の跳躍台である」。文明が衰退した明とそれに挑戦する女真との間に激しい攻防戦が始まった。世界史を切り開く動乱に翻弄される韃靼公主アビアと平戸武士桂庄助を中心として、様々な人間が織りなす壮大な歴史ロマン(中公文庫 裏表紙から)

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カバー装画 司馬遼太郎


・菜の花の沖(一)

 江戸後期、淡路島の貧家で生まれた高田屋嘉兵衛は、悲惨な境遇から海の男として身を起し、ついには北辺の蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく・・・・。
沸騰する商品経済を内包しつつも頑なに国をとざし続ける日本と、南下する大国ロシアとのはざまで数奇な運命を生き抜いた快男児の生涯を雄大な構想で描く。全六冊(文春文庫 裏表紙から)

菜の花の沖(一) 司馬遼太郎

カバー装画 粟屋充


・菜の花の沖(二)

 海産物の宝庫である蝦夷地からの商品の需要はかぎりなくあった。そこへは千石積みの巨船が日本海の荒波を蹴り立てて往き来している。海運の花形である北前船には莫大な金がかかり、船頭にすぎぬ嘉兵衛の手の届くものではない。が、彼はようやく一艘の舟を得た、永年の夢をとげるには、あまりに小さく、古船でありすぎたが・・・・(文春文庫 裏表紙から)

菜の花の沖(二) 司馬遼太郎

カバー装画 粟屋充


・菜の花の沖(三)

 蝦夷地の主・松前藩は、アイヌの人びとを酷使して豊富な海産物を独占していたが、この内実を他に知られるのを恐れ、北辺にせまる大国ロシアの足音を聞きながら、それをも隠し続けた。
漸くにして嘉兵衛が巨船を作り上げ、憧れのかの地を踏んだころから、情勢は意外な展開をみせ始めた。幕府が東蝦夷地の経営に乗り出したのだ(文春文庫 裏表紙から)

菜の花の沖(三) 司馬遼太郎

カバー装画 粟屋充


・菜の花の沖(四)

エトロフ島は好漁場であったが、すさまじい潮流が行く手を妨げ、未開のままだった。しかし幕府は北辺の防備を固めるため、ここに航路を確立する必要を痛感して、この重要で困難な仕事を嘉兵衛に委ねた。
彼の成功は、蝦夷人にも幕府にも大きな利益をもたらすであろう。が、すでにロシアがすぐとなりのウルップ島まで来ていた(文春文庫 裏表紙から)

菜の花の沖(四) 司馬遼太郎

カバー装画 粟屋充


・菜の花の沖(五)

 ロシアは、その東部の寒冷地帯の運営を円滑にするために、日本に食料の供給を求めた。が、幕府が交易を拒絶したことから、報復の連鎖反応が始まった。ロシア船が北方の日本の漁場を襲撃すれば、幕府も千島で測量中のロシア海軍少佐を捕縛する。
商人にすぎない嘉兵衛の未来にも、両国の軋轢が次第に重くのしかかってくる・・・・(文春文庫 裏表紙から)

菜の花の沖(五) 司馬遼太郎

カバー装画 粟屋充


・菜の花の沖(六)

 突然の災厄が、嘉兵衛を襲った。彼自身がロシア船に囚われ、遠くカムチャッカに拉致されたのだ。だが彼はこの苦境の下で、国政にいささかの責任もない立場ながらもつれにもつれたロシアと日本の関係を独力で改善しようと、深く決意したのである、たとえどんな難関が待ち受けていようとも・・・・
感動の完結篇。(文春文庫 裏表紙から)

菜の花の沖(六) 司馬遼太郎

カバー装画 粟屋充


・翔ぶが如く(二)

 西郷隆盛と大久保利通 ― ともに薩摩の生をうけ、維新の立役者となり、そして今や新政府の領袖である二人は、年来の友誼を捨て、征韓論をめぐり、鋭く対立した。
西郷=征韓論派、大久保=反征韓論派の激突は、政府を崩壊させ、日本中を大混乱におとしいれた。事態の収拾を誤ることがあれば、この国は一気に滅ぶであろう・・・・(文春文庫 裏表紙から)

翔ぶが如く(二) 司馬遼太郎

カバー装画 竹内和重


・翔ぶが如く(三)

 ― 西郷と大久保の議論は、感情に馳せてややもすれば道理の外に出で、一座、呆然として嘴を容るるに由なき光景であった ―。
明治六年十月の廟議は、征韓論をめぐって激しく火花を散らした。そして・・・・西郷は敗れた。故国へ帰る彼を慕い、薩摩系の士官達は陸続として東京を去ってゆく ― 内戦への不安は、現実となった。(文春文庫 裏表紙から)

翔ぶが如く(三) 司馬遼太郎

カバー装画 竹内和重


・翔ぶが如く(四)

 西郷に続いて官を辞した、もとの司法卿・江藤新平が、明治七年、突如佐賀で叛旗をひるがえした。この乱に素早く対処した大久保は首謀者の江藤を梟首に処すという実に苛酷な処置で決着をつける。
これは、政府に背を向けて、隠然たる勢力を養い、独立国の様相を呈し始めている薩摩への、警告、あるいは挑戦であっただろうか。(文春文庫 裏表紙から)

翔ぶが如く(四) 司馬遼太郎

カバー装画 竹内和重


・翔ぶが如く(五)

 征台の機運が高まる明治7年、大久保利通は政府内の反対を押し切り清国へ渡る。実権を握る李鴻章を故意に無視して北京へ入った大久保は、50日に及ぶ滞在の末、ついに平和的解決の糸口をつかむ。
一方西郷従道率いる三千人の征台部隊は清との戦闘開始を待ち望んでいた。大久保の処置は兵士達の失望と不満を生む。(文春文庫 裏表紙から)

翔ぶが如く(五) 司馬遼太郎

カバー装画 竹内和重


・翔ぶが如く(六)

 台湾撤兵以後、全国的に慢性化している士族の反乱気分を、政府は押さえかねていた。鹿児島の私学校の壊滅を狙う政府は、その戦略として前原一誠を頭目とする長州人集団を潰そうとする。川路利良が放つ密偵は萩において前原を牽制した。しかし、士族の蜂起は熊本の方が早かった。明治9年、神風連ノ乱である。(文春文庫 裏表紙から)

翔ぶが如く(六) 司馬遼太郎

カバー装画 竹内和重


・翔ぶが如く(七)

 熊本、萩における士族の蜂起をただちに鎮圧した政府は、鹿児島への警戒を怠らなかった。殊に大警視川路利良の鹿児島私学校に対する牽制はすさまじい。川治に命を受けた密偵が西郷の暗殺を図っている ― 風聞が私学校に伝わった。
明治十年二月六日、私学校本局では対政府挙兵の決議がなされた。大久保利通の衝撃は大きかった・・・・。(文春文庫 裏表紙から)

翔ぶが如く(七) 司馬遼太郎

カバー装画 竹内和重


・翔ぶが如く(八)

 明治十年二月十七日、薩摩軍は鹿児島を出発、熊本城目指して進軍する。西郷隆盛にとって妻子との永別の日であった。迎える熊本鎮台指令長官谷千城は籠城を決意、援軍到着を待った。戦闘は開始された。「熊本城など青竹一本でたたき割る」勢いの薩軍に、緻密な作戦など存在しなかった。圧倒的な士気で城を攻めたてた。(文春文庫 裏表紙から)

翔ぶが如く(八) 司馬遼太郎

カバー装画 竹内和重


・翔ぶが如く(九)

 熊本をめざして進軍する政府軍を薩軍は田原坂で迎えた。ここで十数日間の激しい攻防戦が続くのである。薩軍は強かった。すさまじい士気に圧倒される政府軍は惨敗を続けた。しかし陸続と大軍を繰り出す政府軍に対し、篠原国幹以下多数の兵を失った薩軍は、銃弾の不足にも悩まされる。薩軍はついに田原坂から後退した・・・・。(文春文庫 裏表紙から)

翔ぶが如く(九) 司馬遼太郎

カバー装画 竹内和重


・翔ぶが如く(十)

 薩軍は各地を転戦の末、鹿児島へ帰った。城山にこもる薩兵は三百余人。包囲する七万の政府軍は九月二十四日早朝、総攻撃を開始する。西郷隆盛に続き、桐野利秋、村田新八、別府晋介ら薩軍幹部はそれぞれの生を閉じた。反乱士族を鎮圧した大久保利通もまた翌年、凶刃に斃れる。激動の時代は終熄したのだった。(文春文庫 裏表紙から)

翔ぶが如く(十) 司馬遼太郎

カバー装画 竹内和重


・花咲ける上方武士道

 武家もそろそろしまいだな ― 幕末、今日の公家達は武家の実体を知ることが急務になった。
朝廷の秘命を帯びて江戸下向する公家密偵使、高野側近。従うは大坂侍百済ノ門兵衛、伊賀忍者名張ノ青不動。甲賀刺客との凄惨な決闘あり、風雅な恋あり、面白さ抜群の傑作長篇。(中公文庫 裏表紙から)

花咲ける上方武士道 司馬遼太郎

カバー装画 風間完






























吉行淳之介(よしゆき じゅんのすけ)


大学生だった私から見て、かっこいいモテそうなおじさんは、実際にモテたらしい。作風も、これでもかと笑いを誘い続ける遠藤周作とは一味ちがい、オトナの世界を感じさせられた。




・悪友のすすめ

 遊びの達人が、スラプスティック式つまりドタバタ喜劇風に語る、小説家や漫画家、奇人怪人粋人、美女たちとのユーモラスな交遊。
麻雀パチンコ酒女、そのほか風変りなでおかしいエピソードを紹介しながら、人生の手ざわり豊かな、憂世の巷に爆笑、哄笑の花々をまきちらす洒落た本。(角川文庫 カバーそでから)

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カバー装画 松野のぼる


・怪談のすすめ

 “現代の怪談”とはなにか? ユーレイやオバケは過去のものとなった。けれども今の時代にも、コワイ話はいろいろある。そしていちばんオソロシイのは、やはり人間である。
 超能力・宇宙人・変身・整形・性病・コールガール・ラブホテル・同棲愛・ノゾキ etc.怪奇談風の事件をユーモラスに語る、36話のエピソード集。
夏の夜におくるベストセラー・エッセイ「すすめシリーズ」の第4弾。(角川文庫 カバーそでから)

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カバー装画 松野のぼる


・軽薄のすすめ

 “重厚”を良しとし、“軽薄”を軽んじる世の良識と風潮に対し、敢えて逆説的な発言を試みた軽妙にして達意の好エッセイ集。
独自の諧謔と諷刺の装いの下に、キラリ、“当代の文士”の反骨が光る。世のこと、男と女について、幼時から青春時代の回想、交友、病気、身辺のことどもを語りながら、潔くすがすがしい。我知らず、微笑と共感を誘われ、愉しみながら勇気を与えられる書である。(角川文庫 カバー そでから)

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カバー装画 松野のぼる


・焔の中

 敗戦を二十一歳で体験した著者の、かけがえのない、文字どおり“焔の中の青春”の証言がここにある。不幸なまでに過剰な感受性を戦争の轍にふみにじられ、予想される師の影のもとでわずかに若い生命の火を暗く燃やす。
親しい友は原爆で死に、一人、荒廃した焦土に若者は立つ。歳月をこえ胸に迫る著者の自伝的長篇。(中公文庫 裏表紙から)

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カバー装画 クレー 綱渡り師(ベルン美術館)



・にせドンファン

 Q大学英文科助教授花岡文雄、29歳。それが男の昼の顔である。彼には、ジキルとハイドの二つの顔がある。
夜になると、そのために用意された部屋で変身し、華やかな都会の森へ密猟に出かける。OL、バーの女の子、マダム、看護婦、女子大生・・・・と、次々に関係してゆく彼は、エリートと狼の生活を楽しんでいるかに見えた。
そして一見プレイボーイの彼を最後に待っていたもの、それはまるで悪い夢でも見たような復讐だった。女と別れ、夜の街をひとり歩きながら彼はつぶやく。「おれは、一体何者なんだ」
現代人の意識の中にひそむ二重性と願望を、都会的センスとユーモアで鮮やかに描きだした快心の長編小説。(角川文庫 カバー そでから)

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カバー装画 和田 誠


・面白半分のすすめ

 地面を這いまわるような青春時代でも、恋愛でムゴイ目にあっても、どこか“面白半分”風の余裕をもちたい・・・・。
戦争末期から終戦後の混乱期に過ごした自らの青春像を鮮やかな筆で描出した「青春放浪記」。
他にユーモアと哀歓にみちた「酒場一夜一夜」「男と女の間」の二篇を収録。
ベストセラー『不作法のすすめ』の著者が、平明にして達意の文章でおくる、滋味あふれるエッセイ集。(角川文庫 カバー そでから)

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カバー装画 松野のぼる




<作家紹介>
大正十三年(1924)岡山市に生まれ、三歳のとき東京に移る。麻布中学から旧制静岡高校に入学。昭和十八年9月、岡山連隊に入営するが気管支喘息のため四日で帰郷。20年東大英文科に入学。大学時代より「新思潮」「世代」等の同人となり小説を書く。大学を中退してしばらく「モダン日本」の記者となる。二十九年「驟雨」で第三十一回芥川賞を受賞。四十五年には『暗室』で第六回谷崎潤一郎賞を受賞する。主な作品『原色の街』『砂の上の植物群』『星と月は天の穴』『夕暮れまで』、短篇に「娼婦の部屋」「鳥獣虫魚」等。(中公文庫 カバーそでから)


































丸谷才一(まるや さいいち)


芥川賞など数々の賞を受賞し、文化人とはこういう人のことをいうのだなと思わされた。
市井の人ではなく、社会を批評する知者としての丸谷さんの作品を大学生のときに読んだ。
旧仮名遣いには悩まされたたが、文章は整然としており読みやすかったと記憶している。




<作家紹介>
大正十四年(一九二五)、山形県に生まれる。東京大学英文科卒。小説家、批評家。「年の残り」で第59回芥川賞を受賞。「たった一人の反乱」で第8回谷崎賞、「後鳥羽院」で第25回読売文学賞(批評・伝記部門)を受けた。
主な著書に、「エホバの顔を避けて」「笹まくら」「横しぐれ」「梨のつぶて」「日本語のために」「文章読本」「日本文学史早わかり」「コロンブスの卵」「遊び時間」12など、訳書に、グリーン「ブライトン・ロック」、ジョイス「ユリシーズ」(共訳)「ポー名作集」などがある。





・遊び時間

 火の粉を払うためのやむを得ぬ論争から円満な推薦文、充実した書評、小説家の内幕話から映画感想まで、ずらりと並んだ藝の見本帖。小説書く以外の「遊び時間」に秘術を盡して書かれた、読むスリルと楽しみあふれるエッセイの粋。(中公文庫 裏表紙から)

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カバー装画 山藤章二


・食通知ったかぶり

 「・・・・當節のはやりもの、文化とやらは唱えずとも、神髄凝って腹中にあり、こころざし高く、手は速く、本懐とげし顛末は道中の巻物に記されて、すなはちこれ味の名所記、上鹽梅の筆の綾は雅俗ともによろこぶ文場の奇觀なり」とごぞんじの夷齋學人・石川淳の序で華やかに幕開き、和漢洋料理に文明批評の香料をきかせた樂しい本。(文春文庫 裏表紙から)

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カバー装画 駒井哲郎


・にぎやかな街で

 広島に原爆が投下されたあの日、三角関係のもつれから妻を殺害したと年下の友人に打ち明けられた男の困惑と真情を軸に国家と個人の関係を日常性の中で追及した表題作など三篇を収録。出世作「笹まくら」や近作「裏声で歌へ君が代」などで展開されたテーマ”国家論“がここでもみごとに料理されている。(文春文庫 裏表紙から)

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カバー装画 篠田桃紅


・たった一人の反乱(上)

 防衛庁行きをことわり通産省から家電会社に天下りした馬淵英介が二十も歳下のモデル嬢ユカリと再婚したことから巻き起こる異変の数々! 新居に転がりこんできた刑務所がえりの老女。献身数十年の女中の独立宣言―難問にたちむかう知的精神を通して現代日本の市民相に迫る問題作。谷崎賞受賞・全二巻。(講談社文庫 裏表紙から)

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カバー装画 アントニオ・ロペス


・たった一人の反乱(下)

 機動隊に突撃してゆく刑務所がえりの老女。写真賞の授賞式で爆弾発言をする若いカメラマン―大揺れに揺れる現代日本のそれぞれの場所はじまったさまざまな反乱! 市民社会をささえる見えざる奴隷制度と支配の構造を裁き、一方既存の小説作法にも決然と切りこんで現代小説の一達成をきわめたとされる名作。(講談社文庫 裏表紙から)

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カバー装画 アントニオ・ロペス

































佐藤愛子(さとう あいこ)


高校生のときに、よく読んだ作家です。遠藤周作や北杜夫の延長線上にいた女流作家であり、視点のユニークさやユーモアあふれる文章は、なにかとギスギスとしていた頃の私にとって清涼剤であった。


<作家紹介>
1923年11月5日大阪生。甲南高女卒。処女作「愛子」。63年「ソクラテスの妻」が芥川賞候補となり文壇の注目を浴びる。69年「戦いすんで日が暮れて」で直木賞を受賞。代表作「加納大尉婦人」「鎮魂歌」他。





・娘と私の時間

 “用事をさせること、説教を聞かせること。この二つの楽しみが無くて、なんで子供なんぞ、育てていけようぞ!” 怒り、嘆き、悲しみ、ときには突っ張り合い・・・娘の成長するさまを、愛子先生がユーモアをこめ綴る。好評「娘と私の部屋」に続く爽やかエッセイ集、第2弾!!(集英社文庫 裏表紙から)

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カバー装画 山藤章二


・男の学校

 怒ることを忘れ、ひたすら“忍”の一字の現代 - 軟弱と優柔不断の跋扈する世相に慨嘆し、卓越したユーモアをこめ痛快な怒りをぶちまける・・・。本学はゆえあって“女の学校”と兄弟校なるも、世直しを願う女性の受講も大歓迎。昭和の戯絵師・山藤章二の傑作イラスト51点入り。(集英社文庫 裏表紙から)

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カバー装画 山藤章二


・娘と私のアホ旅行

 飛行機の“トイレ”がコワイ、愛子センセイが一大決心、冷静沈着な響子サンを伴って初めて外国へ旅立った。バンコク、カイロ、アテネ、ローマ、フィレンツェ、ベニス、ロンドン・・・。絶妙な母子コンビの行くところ次々に起る大事件、小事件。大爆笑のなかに文明批評を秘めたユニークな怒りと情熱の旅行記。好評「娘と私」シリーズ第三弾。(集英社文庫 裏表紙から)

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カバー装画 山藤章二


・男友だちの部屋

 弱いながらもウソの言えないマコトの男カッパちゃん、人をケムに巻く天才、でも憎めないタヌキちゃん、七色のパンツをはき分けるアナグマちゃん、自他共に許す躁鬱病の紳士ウサギちゃん・・・。有名作家になった人や、忘れかけていた人、想えば懐かしいアイツにコイツ。同人雑誌を中心に集まった、信じられないようなおかしな男友だちを即席ニックネームに隠して綴る、嗚呼!友情記。(集英社文庫 裏表紙から)

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カバー装画 山藤章二


・坊主の花かんざし 一

 ≪佐藤愛子モーレツ語録≫
 色仕掛けというのは、かつて女が男を、美貌あるいは色情を利用して欺すことであった(“色じかけ”より) 
 男だけがキモチええのやなくて、女もキモチええのに、なんで女は男から金を、もらうのやろ?(“女郎考”より)
貧乏は決して素晴らしいものではない。私が素晴らしいと思うのは、貧乏の中での楽天性なのである。(“居候”より)
技術を持っている者が皆先生なら、いっそのこと、芸者、板前、靴磨き、大工、左官、タクシー運ちゃん、みな先生と呼ぶことにしてはどうだろう(“先生考”より)
(集英社文庫 裏表紙から)

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カバー装画 山藤章二


・坊主の花かんざし 二

 ≪佐藤愛子ソーレツ語録≫
 この頃の莟は時が来る前から、開きたがっているのが困る (“莟考”より)
 若者は年寄りのことなど無関心である。若者が年寄りを黙殺してくれているおかげで、助かっている年寄はぎょうさんいる (“この頃の年寄り”より)
天真らんまん、ありのままのブス、ブスにこだわらぬブス、それこそブスの生きる道ではあるまいか。(“ブス道とは”より)
男はノゾキ好きだが少なくとも妻に関しては何ひとつノゾキたくないものである。(“ノゾキ考”より)
(集英社文庫 裏表紙から)

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カバー装画 山藤章二































曽野綾子(その あやこ)

才女とは、このような人をいうのだろう。多くの作品を書くと共に、日本財団の会長を務めるなど只者ではないと誰をも唸らせる活躍をした。
キリスト教への信仰に基づく書物は、時に感嘆を、時に反感を持たれた。テレビ画面を通してみる曽野さんは、おっかない感じがした。『太郎物語』を書いたのは、本当にこの人だろうかとさへ思ったくらいに。




・わが恋の墓標

 人生の深みによどむ悲哀感を才気あふれる話術で巧みに切り取り、そこに言い知れぬ優しさと重みを漂わす著者の珠玉短編集。交通事故で記憶喪失に陥り、なぞの死を遂げた恋人の骨を、お守りのように首から下げた男の物語『わが恋の墓標』ほか『バビロンの処女市』『空飛ぶ円盤』『断崖』『べったら漬け』『海の見える芝生で』『一日一善』『金沢八景』『卵とベーコンの朝食』『高森ホテル』を収録。(新潮文庫 裏表紙から) 

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カバー装画 朝倉響子



・太郎物語 - 高校編 ―

 青春というのは、どうしてこうも腹立たしく、宙ぶらりんなのだろう。青春が輝いたものだなどと言うのは、その人が既に青春を終わった証拠ではないだろうか - 進学問題、心中事件、失恋、さまざまな事件が渦巻く青春の季節を、心優しい太郎は、時には野放図に、時には軽薄を装いながら明るく誠実に生き抜こうとする。現代っ子太郎の悩み多き青春の日々をユーモアをまじえて爽やかに描く。(新潮文庫 裏表紙から) 

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カバー装画 早川良雄



・太郎物語 - 大学編 ―

 補欠で入学した名門大学にちょっぴり未練は感じながらも、太郎は好きな人類学の口座のある地方の大学に入学した。自分で食事を作り、登校拒否症の高校生を預かり、決然と別れたはずの女の子のレポートを引き受けて後悔し、お妾さんと友達になり・・・・ひとりでアパート暮らしを始めた彼の大学生活一年目はとても忙しい。 -悩み傷つきながら人生に目ざめていく若者のひたむきな青春。(新潮文庫 裏表紙から) 

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カバー装画 早川良雄



・心に迫るパウロの言葉

 ユダヤ教徒のパウロはキリスト教弾圧のためにダマスコに赴き、そこで劇的な回心をとげる。以後、彼はキリスト教の伝道に生涯を捧げるが、それはまさに荊の道であった。いたましくも凄絶な苦闘の中から生まれたパウロの言葉は、二千年を経てますます新鮮に我々の胸を打つ。 - 作家でありキリスト教徒である著者は、光り輝くパウロの言葉をつくしみをこめて説き明かす。(新潮文庫 裏表紙から) 

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<カバー装画 マサッチョ(ピサ、サン・マッテオ美術館蔵)>



































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