鬼火の町 ― 松本清張 ― ネタバレなしの読後感想
現代を舞台とした推理小説と異なり、江戸時代など過去を舞台としたものは、当時の文明により捜査の制限が多くなってしまうため、ちょっと性急な進め方だなと思ってしまうことも多いが、松本清張は、「ん? なぜ?」を思うことがかなり少ない作家だと思います。
権力に抑え込まれてしまい、捜査権を奪われてしまっても、なおも人情と仕事人気質から捜査を進めていくという、警察小説の定番のようになっているストーリーですが、松本清張はこれを昭和40年に書いています。あらためて凄い作家だなと思います。
歴史に詳しい小説家らしく、時代背景も丁寧に書かれており分かりやすいです。
残念なのは、事件解決の部分を思い出語りで済ませている点です。紙数制限でもあったのかな?

カバー装画 粟谷 充
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松本清張の他の作品
朝霧にかすむ大川に無人の釣舟が浮かんでいた。やがて二人の男の水死体が流れ着く。現場の川底にあった豪華な女物煙管は謎を解く鍵か? 反骨の岡っ引き藤兵衛にのしかかる圧力の正体は? 藤兵衛を助ける颯爽の旗本釜木進一郎、足をひっぱる悪同心、不気味な寺僧や大奥の女たちを配して江戸を舞台にくりひろげる長篇時代推理!(文春文庫 裏表紙から)
<作家紹介>
明治42(1909)年、福岡県小倉市(現・北九州市)に生れる。昭和28年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。31年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。38年「日本の黒い霧」などの業績によりジャーナリスト会議賞受賞。45年菊池寛賞受賞。「点と線」「日本の黒い霧」「現代官僚論」「昭和史発掘」「古代史疑」など多方面にわたる多くの著作があり、「松本清張全集」(Ⅰ期38巻、Ⅱ期18巻、文藝春秋)が刊行されている。(文春文庫から)






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