野望の峠 ― 戸部新十郎 ― ネタバレなしの読後感想
各短編とも人物を容易に思い描がけるほどに、素晴らしい文章です。
歴史小説の醍醐味は、史実として微かに残っているものに、作者が感じている人物像を軸として、数々の言葉と行動をあたかも実際に有ったかのごとく書き、読者をその世界へ浸らせてくれることだと思う。
その意味では、いやな奴、律儀なリーダーなどが為したこと、為せなかった訳を十分に描いた、これらの短編は実におもしろい。

カバー装画 藤居正彦
<収録>
・野望の峠
新宮十郎行家、源氏棟梁への非望
・破顔
最後に笑った国盗りの雄・北条早雲
・一眼月の如し
名参謀・山本勘介の誤算
・けむりの末
戦国の鬼・服部半蔵の涙
・天下と汚名の間
明智光秀、無謀な行動の結末
・感状
渡り奉公人・結解勘兵衛の最後
・放れ駒
関ヶ原の行方を決めた小早川秀秋の裏切り
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・野望の峠
正体不明ながら、不思議な威厳をもち、人心収攪の才に長けた牢人者伊勢新九郎・行き倒れの娘(後の今川義忠の室・北川殿)を助けた縁で今川氏の内紛を解決し、やがて北条市の婿となって一城の主に・・・・。壮年を過ぎてから面白いように出世していった北条早雲をえがいた、「破顔」ほか、服部半蔵、山本勘助、明智光秀、小早川秀秋らを主人公に、野望を抱えて戦乱の世を生き抜く人間像を、哀感あざやかに描く歴史短編集。(PHP文庫 裏表紙から)
<作家紹介>
大正15(1926)年、石川生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。
北国新聞社記者を経て作家に。多くの剣豪・忍法小説を残す。
平成15(2003)年没






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