藤沢周平(ふじさわ しゅうへい)
懸命に生きる市井の民や下級の武士を描いた時代小説の書き手として有名だが、ジャンルはそれにとどまらず池波正太郎が書くような剣豪ものや捕り物なども書いている。
故人となってからも、テレビドラマが作られ続けていることからみても、人情の機微を伝える作品の普遍性と主人公たちの描き方の確かさがうかがいしれる。
<作家紹介>
昭和2(1927)年、鶴岡市に生れる。山形師範学校卒。48年「暗殺の年輪」で第69回直木賞を受賞。主要な作品として「一茶」「回天の門」「闇の傀儡師」「隠し剣孤影抄」「隠し剣秋風抄」「短篇傑作選」(全四冊)「霧の果て」「海鳴り」「孤剣」など多数。(文春文庫から)
・闇の傀儡師(上)
筆耕稼業で気儘に暮らす御家人くずれの鶴見源次郎は、ひょんなことから深手を負った公儀隠密をたすけ、松平家へ宛てた密書を託される。紙片には「八は田に会す、ご用心」とある。田とは老中田沼意次。そして八とは八嶽党。それは幕府を怨み連綿と暗躍を続ける謎の徒党であった。伝記小説風の色彩あざやかな本格時代小説。(文春文庫 裏表紙から)

カバー装画 蓬田やすひろ
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・闇の傀儡師(下)
とおく慶安の昔から将軍職継承に絡み不穏な動きを続ける謎の集団・八嶽党。右近将監とその闇の徒党との争いは日々熾烈な展開を見せ、鶴見源次郎の身辺も次第に血の匂いにみちてくる。そしてついに、世子・大納言家基が奇怪な最期をとげる。毒殺説が流布され、激昂した将監は田沼を激しく追及するのだが・・・・。(文春文庫 裏表紙から)

カバー装画 蓬田やすひろ
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・隠し剣狐影抄
剣客小説のジャンルに新たなかたちを示したシリーズとして好評の“隠し剣”連作集七篇。凶々しいばかりに研ぎ澄まされた剣技を秘める主人公たち、」またその技凄じきゆえ、その身に悲運を呼ぶくらい因果。この作家ならではの色調と静かな語りで展げられる名品集である。「邪剣竜尾返し」「宿命剣鬼走り」など。(文春文庫 裏表紙から)

カバー装画 蓬田やすひろ
・花のあと
娘ざかりを剣の道に生きたある武家の娘。色白で細面、けして醜女ではないのだが父に似て口がいささか大きすぎる。そんな以登女にもほのかに想いをよせる男がいた。部屋住みながら道場随一の遣い手江口孫四郎である。老女の昔語りとして端正にえがかれる異色の表題武家物語のほか、この作家円熟期の秀作七篇!(文春文庫 裏表紙から)

カバー装画 蓬田やすひろ
<収録>
鬼ごっこ
雪間草
寒い灯
疑惑
旅の誘い
冬の日
悪癖
花のあと
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・闇の歯車
屈託ありげに黙々とのむ常連。浪人に遊人、老隠居に商家の若旦那。そしてこの四人につきまとう謎の男。やがて男たちは夕闇にきえていった。誰が操るのか、皮肉なさだめに人を引きこむ闇の歯車が回る。―押し込み強盗をはかった男達と、それぞれに関わる女達の数奇な人生を描いたサスペンス時代長編。(講談社文庫 裏表紙から)

カバー装画 原田維夫
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・闇の梯子
漆黒の闇に明滅するひそやかな人生絵図。藤沢作品初期の短篇を彩るその独自の色調は読者を魅了してやまない。酔いどれの叩き大工の哀歓をえがく「父と呼べ」、島送りの過去をもつだんまり老人と娘とのほのかな交流をえがく「入墨」、そして闇の世渡りに背を押されるように堕ちてゆく男たちの宿命をえがく表題作ほか二篇を収録。(文春文庫 裏表紙から)

カバー装画 蓬田やすひろ
<収録>
父と呼べ
闇の梯子
入墨
相模守は無害
紅の記憶
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・隠し剣秋風抄
就寝前、一滴の読書。一作ずつ惜しみつつ頁を繰る。気難しい読者をこれほど満した時代小説は昨今稀れである。好評“孤影抄”八篇につづく九篇の佳作。剣の遣い手は多彩。薄禄を吞んだくれ剣士のくぐもった悲哀を描く『酒乱剣石割り』、醜男にもそれなりの女難ありと語る『女難剣雷切り』など異色剣客小説集。(文春文庫 裏表紙から)

カバー装画 蓬田やすひろ
<収録>
酒乱剣石割り
汚名剣双燕
女難剣雷切り
陽狂剣かげろう
偏屈剣蟇ノ舌
好色剣流水
暗黒剣千鳥
孤立剣残月
盲目剣谺返し
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・暗殺の年輪
藩の権力争いの蔭で苛酷な宿命に翻弄される下級武士・・・・武家の非情な掟の世界を端正な文体と緻密な構成で描き、直木賞を受賞した表題作。ほかに、暗たんたる人生を歩み続ける男たちの生きざまに深い共感をこめた、「黒い縄」「ただ一撃」など四篇を収める。本格時代小説のみがもつ味わいと風格を感じさせる傑作集。(文春文庫 裏表紙から)

カバー装画 中野佳子
<収録>
黒い繩
暗殺の年輪
ただ一撃
溟い海
囮
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・雪明かり
美しく心優しい女の哀れ。世の片隅で生きる博徒のせつなさ。武家支配の終熄を予感する武士の慨嘆 ― 小さくも己れの世界を懸命に生きる武士や町人の内には、階級を超えた人間の血が流れる。
人間の愛しさと哀しさを見つめる著者の優しい眼が全編を貫き、巧みな構成・鮮やかな結末と相まって短編の粋を見せる。(講談社文庫 裏表紙から)

カバー装画 東啓三郎
<収録>
恐喝
入墨
潮田伝五郎置文
穴熊
冤罪
暁のひかり
遠方より来る
雪明かり
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・本所しぐれ町物語
浮気に腹を立てて実家に帰ってしまった女房を連れ戻そうと思いながら、また別の女に走ってしまう小間物屋。大酒のみの父親の借金を、身売りして返済しようとする十歳の娘。女房としっくりいかず、はかない望みを抱いて二十年ぶりに元恋人に会うが、幻滅だけを感じてしまう油屋。
一見平穏に暮らす人々の心に、起こっては消える小さな波紋、微妙な気持ちの揺れをしみじみ描く連作長編。(新潮文庫 裏表紙から)

カバー装画 蓬田やすひろ
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・闇の穴
わたしを棄てた男が帰ってきた。大江戸の裏店でそっとともした灯を吹き消すような暗い顔。すさんだ瞳が、からんだ糸をひくように、わたしの心を闇の穴へとひきずりこむ ―。
ゆらめく女の心を円熟の筆に捉えた表題作。ほかに、殺人現場を目撃したため、恐怖心から失語症にかかってしまった子供を抱えて働く寡婦の薄幸な生を描く「閉ざされた口」等、時代小説短編の絶品七編を収める。(新潮文庫 裏表紙から)

カバー装画 蓬田やすひろ
<収録>
木綿触れ
小川の辺
闇の穴
閉ざされた口
狂気
荒れ野
夜が軋む
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・竹光始末
世の中変っても、変らないのは男の心 ―。一家の糊口を凌ぐために刀を売り、竹光を腰に仕官の条件である上意討へと向かう浪人の心意気『竹光始末』。口喧しい女房を尻目に、藩の危機を未然に防ぐ一刀流剣士の手柄『恐妻の剣』。他に『石を抱く』『冬の終りに』等、小説巧者藤沢周平が、世の片隅で生きる男たちの意地と度胸を、ユーモラスに、陰翳豊かに描く傑作時代小説全6編。(新潮文庫 裏表紙から)

カバー装画 皆川泰蔵
<収録>
竹光始末
恐妻の剣
石を抱く
冬の終りに
乱心
遠方より来る
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・孤剣 用心棒日月抄
藩主毒殺の陰謀の証拠書類をもって姿を消した者がいる。藩取り潰しを目論み、公儀隠密も暗躍する。お家の危機を救うべく密命を帯び、青江又八郎は再度脱藩した。
所は江戸、用心棒稼業で糊口を凌ぐ日々、目指す書類は何処に ―。用心棒の行く先々で次々起こる怪事件を、江戸に生きる人々の人情に織りあわせて描く、時代小説の魅力を鏤めた長編小説。シリーズ第二作。(新潮文庫 裏表紙から)

カバー装画 村上豊
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・長門守の陰謀
荘内藩十三万八千石、その藩主世継ぎをめぐる壮絶な暗闘、いわゆる「長門守事件」として史実に残る荘内藩空前の危機を描く表題歴史小説。ほかに、時代小説のもっとも純一な世界を緻密かつ簡潔に描き上げた初期短篇「夢ぞ見し」「春の雪」など秀作四篇を収め、藤沢作品の比類ない魅力と興奮を贈る一冊。(文春文庫 裏表紙から)
カバー装画 蓬田やすひろ






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