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風よ雲よ(上・下) ― 陳 舜臣 ― ネタバレなしの読後感想


江戸時代の黎明期、中国では明が滅亡する時期を背景とする物語です。
明政府の手が海上の支配にまで及ばず、海賊たちが他国との交易によって巨万の富を得ていました。一方、江戸幕府は外国との交易による諸藩の隆盛とキリスト教が拡がることを恐れて、鎖国へと向かっていました。
こうした中、大坂夏の陣で豊臣方についたために主家を失い、明へ渡り商家の用心棒となった男が、大きな時代の変化の中で体験する壮大な歴史ドラマです。
現代の日本人にとっては、宋や明に時代は歴史の教科書の中では端役にすぎず、さっと流されてしまいますが、江戸時代中期には近松門左衛門により、この小説の登場人物が主人公となる「国姓爺合戦」が書かれたことにより、当時の日本人にはなじみの深い時代です。
やはり国土が大きいせいか、中国を舞台とした小説はスケールが大きく、ピンポイントを描いたストーリーであっても、その大きさに変わりはない。
登場人物が魅力的に描かれており、時代背景も克明に書かれているので、歴史に興味のない人であっても、楽しく読むことができるお薦めの小説です。

風よ雲よ(上) 陳舜臣風よ雲よ(下) 陳舜臣

カバー装画 原田維夫





・風よ雲よ(上)
 明朝末期、中国南部の港町マカオで、二人の男が運命の出会いをした。美丈夫の野心家、生まれながらの統領の器、鄭芝竜と、大阪城落城時、脱出して蘇州の大商人の用心棒となった長身の浪人、安福虎之助である。壮絶な乱世に、南海制覇の野望に燃える男と、夢と生きがいを大陸に求めた男の人生の軌跡を描く、歴史長編。(講談社文庫 裏表紙から)


・風よ雲よ(下)
 半盗半商の大頭目にのし上がった鄭芝竜は、天下をも望む勢威を振い、日本女性との一子、後の国姓爺鄭成功もたくましく成長した。一方虎之助は、豊臣の遺宝を追って、日中の海上を転々とする。腐敗と堕落の明朝は、流賊と満州族の襲撃で遂に倒壊した・・・・。
波乱興亡の中国史に光る、男のロマンを描く傑作長編。(講談社文庫 裏表紙から)




<作家紹介>
1924年(大正13年)、神戸に生れる。大阪外語印度語部卒業。同校西南亜細亜語研究所助手を勤めるが終戦によって辞職し、家業の貿易に従事。1961年、『枯草の根』により江戸川乱歩賞を受賞し作家生活に入る。69年、『青玉獅子香炉』により直木賞、70年、『玉嶺よふたたび』『孔雀の道』により日本推理作家協会賞、71年、『敦煌の旅』により大佛次郎賞、89年、『茶事遍路』により読売文学賞(随筆・紀行賞)、92年、『諸葛孔明』により吉川英治文学賞、93年、朝日賞、さらに95年、「作家としての業績」により日本芸術院賞をそれぞれ受賞する。
日本芸術院会員。他に主な著書として『秘本三国志』『耶律楚材』『阿片戦争』『太平天国』『江は流れず』『桃花流水』『琉球の風』『中国の歴史』『小説十八史略』など多数。(中公文庫から)

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