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剣客商売 ― 池波正太郎 ― ネタバレなしの読後感想


60歳になろうとしていて背丈が低いという、およそ剣豪ににつかわしくない風貌の隠居をきめ込んだ剣豪秋山小兵衛と、その家族や取り巻く人々に起こる出来事を、知恵と剣術を使い解決していく連作小説の初巻です。

テレビドラマでは、藤田まことさんが長年の間小兵衛を演じてきたが、藤田まことさんよりも、もっともっと小柄であることが想像され、小兵衛が腕に覚えのある武士をも打ち伏してしまうことに、喝采を贈らざるを得ない。
ひとり息子の大治郎は、筋骨たくましい20代半ば。剣の修業を重ねて道場主となったものの門弟もできずにいるが、正義を忘れることのない泰然とした好漢として描かれている。
田沼意次の妾腹の娘佐々木三冬は、20歳を前にしている剣術の道を歩む腕前も確かな男装の女剣士として、この小説で大事な役割を担っている。
権力をかさにきた賄賂政治を行った奸物として描かれることの多い田沼意次が、好人物として描かれているのもこの小説を面白くしている。
小兵衛の後添え “おはる” がまたいい。下女として奉公していた百姓の娘だが、息子大治郎よりも若い。とかく殺伐なものになりかねない剣豪小説に、邪気の無いゆったり感を与え、緩急の要となっている。

池波正太郎が創りあげた、これらの個性豊かな面々が活躍するのだから、面白くないはずがない。
読み進むうちに、とりこになっていきます。

剣客商売 池波正太郎

カバー装画 中一弥
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勝ち残り生き残るたびに、人の恨みを背負わねばならぬ。それが剣客の宿命なのだ ― 剣術ひとすじに生きる白髪頭の粋な小男・秋山小兵衛と浅黒く巌のように逞しい息子・大治郎の名コンビが、剣に命を賭けて、江戸の悪事を斬る ― 田沼意次の権勢はなやかなりし江戸中期を舞台に剣客親子の縦横の活躍を描く、吉川英治文学賞受賞の好評シリーズ第一作。全7編収録(新潮文庫 裏表紙から)

<収録>
女武芸者
剣の誓約
芸者変転
井関道場・四天王
雨の鈴鹿川
まゆ墨の金ちゃん
御老中毒殺




<作家紹介>
1923(大正12)年、東京に生まれる。1955年東京都職員を退職し、作家生活に入る。新国劇の舞台で多くの戯曲を発表し、60年第43回直木賞を「錯乱」によって受賞。77年第11回吉川英治文学賞を「鬼平犯科帳」その他により受賞する。作品に「剣客商売」「その男」「真田太平記」“必殺仕掛人”シリーズ等多数。









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