Qrossの女 ― 誉田哲也 ― ネタバレなしの読後感想
インターネットの中でプライバシーがさらされしまう社会の理不尽さと、嫉妬が渦巻く芸能界の一面を描いた、『ストロベリーナイト』などの警察小説で知られる誉田哲也ならではの推理小説仕立ての作品です。
相変わらずSNSへの書き込みなどで芸能人や元芸能人への誹謗・中傷が続いているようですが、インターネットが持つ闇の力によって、強迫観念に囚われるように仕向ける卑怯極まりない仕打ちは、小説のネタになるほど巧妙であくどいものなのだなと改めて思わされます。
そして、一夜にして話題や時には人気を作ってしまう芸能界の力と不思議さも、この作品の根幹にあります。
テンポよく進む展開は小気味よく、一気に読みたくなるような筆運びは、さすがだと思います。 “殺し” の無い推理小説をお探しになりたい方は、是非こちらをお読みください。

カバー写真 Radius Images/amanaimages Getty Images
世間を騒がす謎のCM美女「Qrosの女」の素性を暴くべく奮闘する「週刊キンダイ」芸能記者の矢口慶太。CMで彼女と共演した人気俳優・藤井涼介の自宅を、先輩記者・栗山と一緒に張り込むとそこに当人が⁉ 藤井との熱愛スクープ・ゲット!それともリーク?錯綜するネット情報と悪意。怒涛のエンタメ誕生‼(講談社文庫 裏表紙から)
<作家紹介>
1969年東京生まれ。2002年『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞、03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。『ストロベリーナイト』『ジウ』といった警察小説や『武士道シックスティーン』などの青春小説で多くの読者を獲得する。他の著書に『ヒトリシズカ』『増山超能力事務所』など。(双葉文庫から)




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