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塩の街 ― 有川ひろ ― ネタバレなしの読後感想

有川ひろのデビュー作です。宇宙から落ちてきた巨大な塩のかたまりが、多くの人命を奪い続けるという極限状態の世界を、ロード・ムービー風に描いた作品です。それぞれの章の終りに “Fin.” と書かれており、またそれぞれの章を “Scene” としており、幕間(インターミッション)まで設けている、映画を意識した作品です。
自衛隊が登場し、未知の物体が災いをもたらす設定は、後に上梓される『空の中』、『海の底』に共通するものであり、自衛隊への知識の濃さをすでに感じられます。作者の「自衛隊3部作」の第一作とされていますが、私が受けた印象としては、極限状態で出会った男女のラブストーリーではないかと思います。

物語を彩る登場人物にはメリハリのきいたキャラクター設定がなされており、ぶっきらぼうな男、優しく芯の強い女子高生、目的完遂のためには手段を選ばない天才など、目に浮かぶように描かれており、言葉遣いや思考などもそれぞれの人物設定にずれが見られず、第10回電撃ゲーム小説大賞の選考者も大いに喜んだのではないかと思います。

有川ひろの書く文章は、極端なまでに読点「、」が少ないのが特徴の一つですが、既にこの作品でもこのクセが見られます。

読んで損のない良い作品です。

塩の街 有川浩

カバーデザイン 鎌部善彦




塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。だが ― 「世界とか、救ってみたくない?」。ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。『空の中』『海の底』と並ぶ3部作の第1作にして、有川浩のデビュー作! 番外編も完全収録‼(角川文庫 裏表紙から)




<作家紹介>
高知県生まれ。2004年、第10回電撃小説大賞〈大賞〉受賞作『塩の街』でデビュー。続く『空の中』『海の底』と共に通称「自衛隊三部作」として注目を集める。
「図書館戦争」シリーズは本編完結後もアニメ化などで大ブレイクを続け、2010年には『フリーター家を買う。』がドラマ化、2011年には『阪急電車』が映画化されるなど、その作品は多分野にわたり話題を呼んでいる。「ダ・ヴィンチ」(2012年1月号)〈BOOK OF THE YEAR総合篇〉で『県庁おもてなし課』が第一位を獲得、〈好きな作家ランキング女性編〉でも第一位など、幅広い世代から支持を受ける。
著書に『レインツリーの国』『ラブコメ今昔』『シアター!』『キケン』『ストーリー・セラー』『ヒア・カムズ・ザ・サン』『空飛ぶ広報室』『旅猫リポート』などがある。(文春文庫)




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