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月のしずく ― 浅田次郎 ― ネタバレなしの読後感想

ほとんどすべての作家に作風がある。太宰治には太宰治の、夏目漱石には夏目漱石の、それぞれに独自の作風がある。
もちろん浅田次郎にも作風があり、それを強く感じる。浅田次郎節とでもいえるような独特のもので、状況の変化や投げかけられた言葉に揺れる心、行きつ戻りつするように揺れる心理の描写が卓越していると思います。
実際に人とはそういうものであり、どんなに一途に見えても右に左に、前に後ろに心模様が変化している人間が小説の世界に生きていることにより、より共感を覚えやすいのではないだろうか。
この短編集の一つ一つにも、そのような世界が広がっている。朴訥な中年男、過去の愛に未練を残す女と与える愛で優しく包む男、辛い過去を忘れ去ることで生きてきた男、他人の都合に諾々と生きてきた男女たちが、それぞれの人生を浅田次郎の世界で生きている。
人生にちょっと疲れた人は是非お読みください。

月のしずく 浅田次郎

カバー装画 佐々木悟郎



三十年近くコンビナートの荷役をし、酒を飲むだけが楽しみ。そんな男のもとに、十五夜の晩、偶然、転がり込んだ美しい女 ― 出会うはずのないふたりが出会ったとき、今にも壊れそうに軋みながらも、癒しのドラマが始まる。表題作ほか、子供のころ、男と逃げた母親との再会を描く「ピエタ」など全七篇の短篇集。(文春文庫 裏表紙から)

<収録>
月のしずく
聖夜の肖像
銀色の雨
琉璃想
花や今宵
ふくちゃんのジャック・ナイフ
ピエタ




<作者紹介>
1951年生まれ。95年『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞、97年『鉄道員』で直木賞、2000年『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞、06年『お腹召しませ』で中央公論文芸賞と司馬遼太郎賞、08年『中原の虹』で吉川英治文学賞、10年『終わらざる夏』で毎日出版文化賞を、それぞれ受賞。著書に〈天切り松 闇がたり〉シリーズや『プリズンホテル』『蒼穹の昴』『シェラザード』『憑神』『ま、いっか。』『ハッピー・リタイアメント』『降霊会の夜』『一路』など多数。



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